日の出書店にお礼を言いに行く

私が小学校5~6年の頃に通っていたそろばん塾の横に、日の出書店という書店がありました。

そろばん塾が始まる時間までの間、日の出書店に行って、置いてあるコミック本を片っ端から読みまくっていました。

最近の書店だと、コミックにはビニールテープが巻かれていて、子供も立ち読みなど出来なくなっていますが、それを考えると、なんと幸せな子供時代だったのでしょう!

「はだしのゲン」を読破したのも、この日の出書店ででした。

いつも前を通りかかるたびに、いつかあの頃のお礼を伝えなければと思っていたのですが、いつまでもその機会があるわけではない、今日こそお礼を言いに行くと決めて、二男を連れて、開いているのか閉まっているのかわからない店内に入っていきました。

すると、奥から店主の奥さんが出てきて下さって、自分が小さい頃、隣のそろばん塾に通っていたこと、日の出書店では、待ち時間の間相当のコミックを立ち読みさせていただいたことを伝えました。

懐かしい店内、話をしながら涙が出てきてしまいました。

「うちは、地域に貢献出来ればそれでいいと思っているから・・・」とのお言葉。

二男が「ママ、僕、これ買いたい」と言って渡してきたのが、フェリックスのガム。

笑ってしまいました。だって、私も子供の頃、日の出書店に行って必ず買ったのがこのフェリックスのガムなんですもの。

子供ながらに、立ち読みはずるいと思っていたのですね。読み終わった後にレジ前に置かれていたこのフェリックスのガムを何個か買って、それで勘弁してくださいと思っていたのです。

日の出書店には、書籍と文具以外の雑貨も置いてあって、手芸品の材料もありました。

二男が2学期にランチマットをミシンで作るというので、布を探していたので、そのことを告げて、店主の奥さんと一緒に布を選んでもらいました。

「私の実家の応接間に、日の出書店のホチキスがあるんです」と言うと、「それは開店の時にお配りしたものですね」と店主の奥さん。

「本当に記念品ですね」と私。

お店を出る時に「思い出してくれてありがとう」と店主の奥さんがおっしゃったので、「東京にいる時も、日の出書店の事は考えています」と伝えました。

二男が買ったフェリックスのガムは、開けてみたらあたりでした。

ただ、実家に帰ってから応接間の戸棚の中を見てみると、日の出書店の名前と電話番号の入ったホチキスはなくなっていました。この間来た時まではあったはずなのに。

私がお礼を伝えるまで、そこに形見としていてくれていたのかもしれません。

フェリックスのガム(マルカワ)


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