花森安治さんに学ぶ
週刊誌の週刊朝日2016年9月23日号に、NHKのドラマ「とと姉ちゃん」に出てくる編集者のモデルとなった花森安治さんに関する記事が載っていました。
「ぜいたくは敵だ」「欲しがりません勝つまでは」
皆さんも聞いたことがあるでしょう。この戦時中のキャッチコピーは、花森さんが作ったものなのです。花森さんも、時代の流れに否応なしに巻き込まれていたのです。
以下、雑誌の内容の抜粋です。
「花森は自分の経験から、戦争が起きたら個人はその流れに逆らえないことがわかっていたのだと思います。だからこそ「戦争が起きないようにすること」が大切だという信念があった。そのために「庶民の暮らし」を守ることにこだわった。」ドラマでは常子は「女性のための雑誌を作る」とは繰り返し語っているが、「暮しの手帖」には「二度と戦争を起こさせないための雑誌」という、もう一つの信念があったのだ。
敗戦から27年が経ったとき、グアム島に潜伏していた旧日本兵が帰国したニュースが大きな話題となった。そのとき編集部員が「もっと早く出てくればよかったのに」と言うと、花森は「キミにそういうことを言う資格はない!」と、色をなして怒ったことがあったという。
68年、花森は原点に返ると大号令をかけ、それまで商品テストやファッションなどが中心だった「暮しの手帖」の第96号の全ページを費やして「戦争中の暮しの記録」を発表。大きな話題を呼んだ。以降、これまで封印していた政治的メッセージも積極的に発することになる。70年には「見よ ぼくら一銭五厘の旗」という一文を掲載している。
<民主主義の<民>は 庶民の民だ / ぼくらの暮しをなによりも大事にするということだ / ぼくらの暮しと企業の利益とが ぶつかったら 企業を倒すということだ / ぼくらの暮しと 政府の考え方が ぶつかったら 政府を倒すということだ / それが ほんとうの<民主主義>だ>
「一銭五厘」とは、戦時中の郵便ハガキの値段を意味する。兵隊を召集することは一銭五厘の赤紙でできる。兵隊の命は、軍馬よりも安い。
「花森は、一銭五厘で戦地に送られた側であると同時に、後の翼賛会時代に兵隊を送ることをあおった側でした。花森のような人物でさえ、戦争に飲み込まれてしまった。しかし、そのことを傍観者の立場で批判しても意味はありません。それよりも、日本が再び戦争をしないために、何をしなければならないのか。花森の仕事は、私たちにそれを問いかけている」
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※番外編 「週刊朝日」1971年11月19日号「花森安治における「一銭五厘」の精神」より
「ある主婦が、「暮しの手帖」で、電気皿洗い機が役に立たぬことはわかったが、代わりに何を買ったらいいか」と質問してきた。
花森さんは「処置なしさね。物を買いたくてうずうずしてんだから…」と、主婦読者には手きびしい。
「まあ、考えてみれば、ある家庭のミソ汁の作り方を改めさせる方が、内閣の一つ二つを倒すより難しいかもしれないんだからね」と笑うのである。
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