父とカステラ
実家に帰った時に、母が「これ、おねえちゃんが買ってきたんだけど、食べなさい」と言って、ゼリーを出すんです。
東京駅の大丸というデパートの中のお店で買ってくるのですが、父も母もそんなに積極的にそのゼリー、食べないんです。・・・ということをそうやって私は知るわけなんですが。
いっつもそのゼリーを買ってくるんですよ。自分が気に入っているから贈るというのもありだけど、基本的に相手が喜んでいるかどうかもうかがってほしいところなんですが。
・・・で、私はというと、ある時、思いつきでカステラをおみやげに買っていったことがあったんですが、「カステラ買ってきたんだ ♪ 」と言ってテーブルの上に置いてから、しばらく経って見てみると、包みが開いていてカステラを食べた形跡が。
私の子供時代は、文明堂のカステラのCMもテレビで流れていたし、ちょっとした贈答品だったと思うし、それは父にとっても同じだったろうと思います。
で、次に買っていった時にも、父が「カステラ・・・か」と言って喜んだんですね。別に、子供みたいに「ヒャッホー」って喜んだわけではないですが、そのひと言の声のニュアンスの中に、うれしそうな感じが出る時ってあるじゃないですか。
「カステラ・・・か」を聞いた時には、心の中でガッツポーズですよ(笑)
どや!(姉に対して言っている)、相手が喜んでいるか、実際に食べているか見届けなあかんのや!
もう、姉に「実はさ・・・お姉ちゃんが大丸でいつも買ってくるゼリーさ、お母さんがいつも私に食べるようすすめるんだけどね。お姉ちゃんさ。私がお父さんに買っていくおみやげで、お父さんが必ずすぐに食べるもの、何か知ってる?カステラなんだよ!」・・・って、おしえたくて仕方がないんですが(笑)
これ、もう最高の気分なんですよね!だって、私、兄弟姉妹が私を含めて4人いるんですが、他の3人は、父がカステラが好きなこと知らないんですから。
私がカステラを買っていく時の気持ち、「私だけがお父さんを喜ばせることが出来ている」
カステラともう一つありまして。
父と一緒に、庭に植える花の話をしていた時のこと。
父が「花は、黄色い花が一番いいな」・・・って言ったんです。
この時も、私、鼻の穴が広がりましたね。
「どや!(他の兄弟姉妹3人に言っている)、おまいら、お父さんが一番好きな花の色、知らんやろ?」・・・と。
皆さんも、ご自分のお父さんやお母さんが、どういうことを好むのかとか、喜ぶのか、とかを知り、それがですね、自分とお父さんだけの秘密・自分とお母さんだけの秘密(秘密と呼ぼう)だったりしたら、とっても素敵じゃないですか?
私の父に対しては、今のところ、「カステラと黄色の花」が私と父との間の秘密なんですが、もう一つくらい何か見つけたいな、と思っているんです。
0コメント