「原爆詩集」が岩波から

オバマの広島での演説がどこかの出版社から出ていて、その広告を見て下くちびるを噛んでいた私ですが。

あの、小説家くずれのスピーチライターが書いたスピーチを本にして持っていたいという日本人がいるのかと。

そう考えていたところに、サンデー毎日2016年9月11日号の書評欄で、池内紀氏の書評を見つけました。

「ちちをかえせ ははをかえせ としよりをかえせ こどもをかえせ・・・」

どこかで見かけたこともある人もいるでしょう。峠三吉氏の「原爆詩集」ですが、岩波書店から今年2016年7月に文庫が出ていたのです。

詩集の解説には大江健三郎氏とアーサー・ビナード氏の2氏が解説をしており、池内氏の書評はアーサー・ビナード氏の解説を解説していました。

本の読み方・在り方は、中身が一番なのはもちろんなのですが、それ以外の場所に重きを置いてもそれは自由だと思います。私も本の価値を見出す時に、必ずしも作品至上主義というわけではありません。

オバマの広島のスピーチに対して、リアルな現実から生まれた「原爆詩集」それに付随する解説には、アーサー・ビナード氏の解説中に、そのスピーチに対しての批判が載せられています。アーサー・ビナード氏はアメリカ人です。誰が書いてもいい解説というわけでもありません。原爆を落とした国の人がオバマのスピーチを批判をするということには意味があると私は思いました。

この原爆詩集は今までいくつかの出版社から出ており、かつて出ていたものの中に、解説が鶴見俊輔氏のものがあり、アマゾンのマーケット・プレイスで急いで注文をし、近々届く予定です。(鶴見俊輔氏は、白土三平先生の解説を必ず書いていらっしゃいましたので、私にとってはマストな方なのです。漫画を評論するというのは、鶴見俊輔氏が初めにやったことなのです)

最高のattitudeを見せてくれた岩波書店は最高の出版社ですね。


原爆詩集 /  峠三吉(岩波文庫・緑:解説 大江健三郎、アーサー・ビナード)


新編 峠三吉 原爆詩集   /   青木書店(解説:中野重治、鶴見俊輔)


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