怪獣墓場

ウルトラマン用語の中で「怪獣墓場」という言葉があります。

ウルトラマンに倒された怪獣たちが漂う異次元の空間のことです。

初代ウルトラマンの第35話にこの「怪獣墓場」が出てきます。「シーボーズ」という、恐竜に似た怪獣です。ルックスはもう、あばら骨が見える位にちょっと化石化されているのですけれどね。

このシーボーズが、人間が打ち上げた月ロケットにつかまって、地球まで帰ってくるのです。皆、怪獣墓場から来た怪獣の亡霊が可哀そうだと言って供養をするのですが、シーボーズが動き始めるとこれは大変だということで、科学捜査隊も動き始めるのです。

そして、シーボーズが全く何の攻撃もしていないのに力でねじ伏せようとして、「シーボーズは宇宙に帰りたがっているのではないか?」「ロケットにしばりつけて、宇宙に返してあげよう」という話になるのです。

この作戦は結局失敗をし、次にはウルトラマンにせっつかれて自分で月ロケットにつかまって飛ぶことになるんですけれど、そこに至るまでの間も、ウルトラマンがシーボーズのことを殴ったりしているんですよね・・・これはどうかと思います。

ウルトラマン対シーボーズの戦い(戦いと呼んでいいのかどうか)は、珍しくストップモーションで構成されているのですが、これは監督である実相寺氏の主張で「これでいいのか?」という問いが秘められていると推測するのです。

私にはこのシーボーズが、社会的絶対的弱者に映るのです。例えば障害者であったり、例えばホームレスだったり・・・(とにかく、面倒くさいというような存在なら何でも当てはまるだろう)

作品の中で、人間がしきりに「シーボーズが宇宙に帰りたがっている」「怪獣墓場に帰りたいと思っているのだ」と言って自分達を肯定しようとしているところ(結局は厄介払いをしたいというところ)が悲しみを誘います。


ウルトラマン第35話「怪獣墓場」2/1

https://www.youtube.com/watch?v=O7M4YbJMwbY

ウルトラマン第35話「怪獣墓場」2/2

https://www.youtube.com/watch?v=CmFkH2gA2I0




ガッツさんとともにうちの怪獣墓場で行方不明中の、シーボーズの食玩

出てきたら載せます。



this must be the place

sisidothecatのブログ