どろぼうがっこう

絵本の紹介です。

かこさとし先生の「どろぼうがっこう」/ 偕成社 です。

この絵本は、どろぼうがっこうという学校があり、そこに先生がいて生徒もいて・・・というお話で、警察につかまらないようにどろぼうの勉強をするのですが、まあ最後にはつかまってしまうんですけれど、最高に面白いんですよね。

このさわりの部分だけ聞いても、特に男性だったら「ちょっと読んでみたいな」と思うのではないかと思います。

子どもの立場からしてみたら、やってみたい立場の方って、警察のほうよりどろぼうのほうだと思うんです(笑)

生真面目に考えると「どろぼうを肯定するのか?」とかいう話にもなったりするんですが、純粋なこどもの立場に立って考えてみると、どろぼうをするのに学校があるなんて発想のほうが断然楽しいわけです。

中には、「どろぼうが包丁を持って出てくるから、とても子どもには見せられない」とか言う人もいるんですけれど、でも、考えてみればリアルなどろぼうは包丁を持っていたりするわけでしょう?

そういう所はむしろ隠したり否定したり出来ないと私は思いますけれどね。

この続編が2013年に出たんですが、個人的には続編のほうが面白いんです。

今度は、どろぼうが刑務所に入っているんですが、そこからの脱獄を計画するんですが、脱獄をたくらみつつ真面目にやっていたところ、晴れて正式に外に出ることが認められます。

その間の「脱獄してやるぞ」という気持ちがうまく描かれていて、わくわくするんです。

この絵本を読む子ども達は、もうどろぼうはいけないことだって理解しているわけですし、これを読んでどろぼうの存在を肯定するというわけではないと思います。

子どもって色んな役に自分がなることを想像するわけですよね。

それがどろぼうのことだってあると思う。

続編は「どろぼうがっこう ぜんいんだつごく」「どろぼうがっこう だいうんどうかい」の2点なのですが、「どろぼうがっこう だいうんどうかい」のあとがきが良かったので読んでみて下さい。


あとがき    かこさとし

この絵本の前作を書いたのは もう40年もの昔になりました。

はじめ出版していただいた時、幼稚園や学校の先生から「どろぼうの絵本なんて!」と、おこられるのではと、とても心配しました。

ところが、たくさんの方に読んでいただいた上、とくに多くのお父さん方から「こういうのをまっていた、毎晩子どもに読んでやっている、ぜひ続きがほしい」というお手紙をいただくようになったのです。

大人の文学の世界では、こういうのを悪漢小説(ピカレスク・ノベル)とよぶのだそうです。

私は男女同権主義で、それまで絵本や童話についての意見や書評に、ほとんどお父さんの姿がないのをとても気にしていたので、もう百万の同志を得た思いで続きをかかせていただいたというわけです。

お父さんも子育てがんばって!


このあとがきの素晴らしいところは、これら全ての漢字にルビがふってあるんです。

つまり、こどもにもこのあとがきを理解出来るようにしてあるということ。

今現在、小さなお子さんがいらっしゃるご夫婦、またはそういった方々への贈り物として、この本をおススメします。

ぜひ、お父さんにこの本を読み聞かせしてほしいですね。


かこさとし先生自身がこの本について語っている動画を見つけましたので、ぜひそちらもご覧下さい。

http://www.kaiseisha.co.jp/special/kakosatoshi/interview_2.html

先生、"川崎のガキども"って(笑)

(ちょっと解説してしまうと、かこ先生は自分が受けてきた教育が間違ったものだったと悟った時があったわけなんです。だから、子ども達には自分と違った自由な発想の出来る教育をしたいと思って絵本をかいているわけなんです。)