出版刊行予測
相模原の津久井やまゆり園の事件で、被害者7人に生前関わっていた西角純志さんが、被害者の方々の生きた証を残すということに取り組んでおり、被害者の方々のご家族や関わりのあった方々へのヒアリングをしているといいます。
このままそれが継続すれば、西角さんの取り組みも何らかの形で本になるかもしれません。
これから、この事件に関しての本もいくつか出てくるかもしれません。
私は、そうあってほしいと願っています。
2017年1月27日付けの東京新聞に、作家の高村薫氏がやまゆり事件に関して語っている記事が掲載されていたそうです。
これを見て、高村さんあたりがこの事件を取り上げた小説を書いてくれたら・・・と想像してみました。
ノンフィクションでも、フィクションでもかまわないのです。
この事件がもとになったものであれば。
少しでも多くの人が、この事件に関して想像を膨らませる機会が出来るのであれば、小説というのも一つの手段ではあります。
ノンフィクション・ノベルといえば、まず初めに出てくるのがトルーマン・カポーティの「冷血」です。
この本は、実際にアメリカで起こった4人の惨殺事件をもとにカポーティが事件の関係者に取材をし、それをもとに作者の感情移入なしに書き上げた作品です。
最終的に、読後感としては、憎い存在のはずの犯人に少し同情さえしてしまうような感はありますが・・・
これに影響を受けて書かれたと思われるのが、前出の高村薫氏の「冷血」です。
ただ、高村氏の場合は、実際の事件をもとにはしていないのであくまでもフィクションなのですが、高村氏いわく「私はこれをミステリー小説としては書いていない」とのこと。
つまり、フィクションでありながらも、ノンフィクション・ノベル的な手法を目指して書かれたと推測されます。(私はまだこれに関しては未読なので推測でごめんなさい)
同じく、カポーティの「冷血」を意識して書かれたと言われるのが、村上春樹の「アンダーグラウンド」です。
これは、地下鉄サリン事件をもとに村上春樹が62人の関係者にインタビューを行なって書かれたノンフィクションです。(村上春樹もカポーティ好きである)
前出の新聞の中でも高村氏は、やまゆりの犯人を到底容認することは出来ないが、しかし彼を生み出してしまった世の中は事件に密接に関係をしていると述べていました。
私もこの考えには同感です。
あの犯人の言葉には、ある意味使命感を持ってやったというような言葉もあったのだ。
もしかしたら、彼が障害者に対して抱いていた感情は、自分自身への嫌悪感、同族嫌悪のようなものだったのかもしれない。そんなことも考えてみた。
冷血 / トルーマン・カポーティ(新潮文庫・佐々田雅子 訳)
※私は長らく新潮文庫から出ていた龍口直太郎氏の訳で読んでいましたが、2005年に佐々田さん訳のものが出ています。
冷血 / 高村薫(毎日新聞社)
アンダーグラウンド / 村上春樹(講談社文庫)
火車 / 宮部みゆき(新潮文庫)
※ 宇都宮けんじさんをモデルにして書かれたという小説なのですが、宮部さんあたりも力量あるかなと思い載せてみました。
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