注文の多い料理店

宮沢賢治の書いた童話です。

単体で出ていることが多いですが、実はこれは序章から成る10のお話から構成されています。アルバムに例えると、アルバムのタイトル曲というところです。

実はこのお話、現在の私達の置かれている状況にぴったりと当てはまるんです。

あらすじとしては、ある二人の男が山の中で道に迷い、ある建物を見つけ、どうやらそれが料理を提供してくれるところだということで中に入っていきます。

すると、進む先々の扉の前に様々な注文が書かれていて、二人はその注文に従っていきます。そして最後にはそれが二人を食べてしまおうという目的があったということに気が付き、命からがらそこから逃げ出すというお話です。

読みどころのポイントとしては二つあります。

一つは、基本的に私達は料理店というと自動的に「提供される側」だと思っていますが、このようにお店の方が注文を付けてくるとは考えません。

この二人のお客を国民、お店の方を国と置き換えてみると分かりやすいかもしれません。

そういった無防備な考え方には注意しましょうという賢治のメッセージとも受け取れます。

そしてもう一つは、この二人の男の描かれ方なのですが、一人の男の言っている事に、もう一人が追従をしているということで、主体性のない人間というものが描かれているのです。

「疑いを持つ」「主体性を持つ」というメッセージがこのお話から読み取れるのです。

賢治が、私が言っているような意図を持ってこのお話を作ったという話は見かけませんけれど・・・

小学生の国語の教科書にも登場するお話ですが、指導要領に盛り込んで欲しいとまでは言いませんが、先生方には「他の人の言っていることに何の疑問も持たずに、自分で考えずにいると、このお話のように痛い目に会うんですね」くらいのコメントはしてもらってもいいかなーと思っています。


注文の多い料理店 /   宮沢賢治 (新潮文庫)


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