烏の北斗七星

宮沢賢治の「注文の多い料理店」の中の10のお話のうち、注文が多い料理店の次に収録されているお話です。

人間を烏(カラス)にたとえているのですが、戦争のお話です。10ページの短いお話です。

お話の最後のほうで、勝ったカラスのほうが、戦いが終わったうれしさから涙を流します。

そして、自分達が全滅させた敵の山カラスの事を思って新しい涙をこぼします。

(「新しい涙」と呼ぶところが詩人だと思う)

そして、敵の山カラスの死骸を葬りたいという希望を、隊長が許してくれます。

カラスは夜空に輝く星座に向かってこう祈ります。

「どうか憎むことのできない敵を殺さなくていいように、この世界がなりますように」と。

列に並びながら終始きらきらと涙をこぼしているそのカラスの様子を、隊長は見ないフリをしていました。

泣きながらも同時に、まだ生命が存続しているという喜びを隠せずにカラスはくちばしを大きく開けて喜びを表したのですが、隊長はそれも横を向いて見逃しました。

・・・というお話です。


注文の多い料理店   /  宮沢賢治 (新潮文庫)


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