教育にまつわる義務と権利

二男と同じ学年で不登校になってしまった子がいます。

不登校になってから、昨年1年間二男と同じクラスになり、今年クラス替えがあってからも1学期中は学校に来ていました。

夏休みが終わってからの2学期が難しい時期だなと思っていたら、案の定2学期の一日目から来なくなってしまって・・・

二男とクラスが違うことが理由ではないと思うし、うちに遊びに来たからといって学校に行くようになるなど短絡的には考えなかったのですが、それでもやはり遊びに誘おうと思い、2学期が始まってから最初の土曜日に、彼のお母さんに「うちに遊びに来る?」とメールをしたのです。

そうしたら「行くと言っています!」と彼のお母さんからメールがあり、私の家に来ました。

彼が家に来た時に、二男はちょうどお店に買い物に行っている最中でした。

私は、今だと思って、彼とこんな会話をしました。


(私)「○○君さ、2学期になってから学校に行っていないの?」

(○○君)「(無言でうなづく)」

(私)「ともくんのお母さん(私のこと)さ、○○くんに、これだけは伝えておきたいんだ。

 ○○君が学校に行きたくないって気持ち、それは悪いことでも間違ってもいないからね。本当は学校に行った方がいいのは誰だってそう思うよ。○○君だって、本当はそうしたほうがいいんだろうなとは思っているとおもう。でも、それでも○○君が「行きたくない」と思う気持ちは、絶対に悪いことでも間違ってもいないよ。ともくんのお母さんがそう思っているっていうこと、○○君にはおぼえておいてほしいんだ」

(○○君)「(無言でうなづく)」

伝えて良かったと思いました。

私の言っていることに疑問があったら、彼はきっとうなづいてくれなかったろうと思いました。


二男と違うクラスの子達とも遊んでいるし、どうやら友人関係が問題で行きたくないというのではなさそうです。

親しい友人がいれば学校に行くという作戦は、ある意味敗れたわけです。

もっと根本的な問題があるのだ。それが解決しなければ学校には行かないだろう。

まず第一に彼に対してやらなければならないことは、彼の「行きたくない」という気持ちを全面的に受け止めることではないか?と私は考えました。

この点に関して、私は経験者でもあるのです。

私が、障害を抱えた長男を育てている時に、元ダンナとトラブルが起きた原因は、元ダンナが「私が大変なのだ」ということを認めなかったからなのです。

元ダンナは「こどもが可愛かったら、どんなことも苦には感じないはずだ」などという精神論をふっかけてきたのですが、こどもを可愛いと思う気持ちと、実際に大変だという気持ちは全く別の物です。

○○君においても、学校には行って当然という気持ちと、実際に大変だという気持ちは別のものでしょう。

理屈ではどうにもならないのです。

私は今でも思います。元ダンナがあの時に「大変だと思う気持ちは間違っていないよ」と心から私の気持ちを受け止めていてくれていれば、離婚にはならなかったのではないかと。

なので、○○君にとって今必要なのは、自分の感じている感情は決して間違ってはいないと肯定してあげることだと私は考えました。

考えてみれば、○○君の「学校に行きたくない」という気持ちを肯定出来る存在の人って、あまりいないのです。

先生は、「行きたくないのは決して間違った考えではありません」などとは言えません。

親にしても、「教育を受けさせる義務」というアタマがあるので、これもまた言えないものだと思います。

そう考えたら、私くらいは、彼の感情を肯定してあげてもいいんじゃないか、いや、そうすべきだと思ったのです。

本当は、両親のうち父親のほうでも「パパはお前なりの理由があるのを理解している。行きたくないのなら行かなくてもいいと思っている」とでも言って、親の2人のうち1人はその状態を認めているという状態を作ってあげたらまた違うのかなと思いますが・・・

自分の中で釈然としないものがあるから行きたくないのに、行け行けと言われても行けないと思うんです。

以前、新宿御苑でクラスの親子の集まりがあった時に、皆が「わ~」と言って駆け出した時に、○○君のお母さんが「○○も一緒に行きなさいよ」と言って、○○君が「意味ないよ…」と言ったのを聞いて、その時は私も「意味を出させてやろうじゃないのっ」とか思ったのですが、小学3年生くらいの年齢で、同じ位の年齢の子と遊ぶ時の「意味」を考えるのって、やはり普通ではないですよね。

私はその時に自分が思った「意味がないと思うなら、意味を見出させてあげたい」という気持ちは、今となっては見方が間違っていたと思います。

彼のことをこう考えさせたい、ではなく、彼の思う気持ちをまず第一に認めてあげることが必要だったのではないかと思います。それは現在でもそうなのだと思います。

彼のお母さんはとても熱心なのですが、時々「ん?」と思う時があり、今年の夏休み中にもお泊りの合宿があったのですがその際に、「行きたくない」と言っているとのことで、グチを聞きました。その時にも「行けば絶対に楽しいのに」とおっしゃっていたのです。

私はそれはどうかなと思いました。こどもが合宿を楽しいと思うというのは、そんなに絶対的なものでしょうか。行きたくないと言っているのに、「行けば絶対に楽しい」と言われては、それこそ絶対に行きたくなくなると思うのです。

その時には、「うちのともくんも、そんなにバカみたいに楽しみにしていないけどねー」と○○君のお母さんには伝えたのですが。

憲法には「教育を受けさせる義務」と「教育を受ける権利」が書かれていますが、○○君は「教育を受ける権利は持っているが、受けなければならない義務はない」という解釈でいいのでしょうか。(中学3年生までの義務教育というのは、やはり受けなければならない義務ということなのでしょうか)もう少し勉強しなければ・・・

(いずれにしても、もし中学3年生までの義務だとしたら、そんなに長い年月でもないようにも思えます。勉強だけはしっかりやっておいて、高校1年生の年齢になったら堂々としていられるという考え方も、しようと思えば出来ます)

なんか、私が2分の1成人式で感じた違和感・納得出来ない感のような構図を、学校の様々な場所で発見し、とてもやってらんないわという気持ちになっているのではないか?ということもあり得ると思うのです。

とても頭のいい子で、他の子が鈍感で気が付かない事を「これをやる意味とは…」と考えている可能性もありますね。

          

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