チェコのカッパ
私の中で、カレル・チャペックのブームが再燃していまして・・・
今回は、水木しげるファンも必見の、チェコのカッパを紹介します。
「長い長いお医者さんの話 / 岩波少年文庫」の中のその名も「カッパの話」です。
読んだ内容から私が説明をしますね。
「・・・何千年もむかしは、世界じゅうが水の下にあったものだ。そして人々はーーー人々といってもつまりはカッパのことじゃ。ーーーチェコじゅうが水の下にあったもんだよ。」・・・ということで、昔はカッパが水の下に人間のように住んでいたのですね。
そして、今は陸の上に上がって陸の上だけで生活をするカッパ(人間)と、水陸両用の体を持つカッパがいるようです。(どちらを進化と呼ぶかは不明ですが)
今でも、歯医者などに現れて、腰かけたイスがぬれているのを見られて「さてはカッパだな」と気が付かれたりするようです。
「カッパはふだんははなればなれにくらしているのですが、一年に一度か二度、川の水かさが増したときを利用して、世界じゅうから集まってきて会議をひらきます。わたしの国のほうでは、フラデゥツェ・クローラヴェというところの、牧場のそばの深い池が、いつもその会場になるのです。」とのこと。
カッパ稼業もなかなか大変で、陸にあがって仕事を探してみると、水に関係する仕事が意外と多くあり、水中でのカッパ稼業をやめるものが多くなっていったとのことです。
そして、最初にカッパが水中から外に(空気の中に)出た時に、「あれ?空気の中でも息が出来るんじゃ?」と気が付いたようなのです。そして、その頃はまだ水面に空が映るなどということは知らなかったので、水面に映った空を本当の空だと思って暮らし始めたのですね。そうやって次第に水中から陸にあがってきたのだというわけです。
そうして皆、故郷が恋しくなると、水面に映っていた空を想って本当の空を見上げるのですが、それはただの空なんです・・・というお話です。
長い長いお医者さんの話 / カレル・チャペック作、中野好夫 訳
カレル・チャペックの兄、ヨゼフ・チャペックによるカッパの挿絵です。
※ 更に深く突き詰めてみたいという方向けのお話ですが、他の方のブログで、岩波少年文庫ver.の翻訳者の中野好夫氏は、基本的に英語の翻訳のかたなので、この翻訳はチェコ語→英語→日本語という過程を経ているのでは?という指摘を見つけ、その時まで気が付きませんでした。チャレンジャーはこちらの岩波ver.とチェコ語から日本語にダイレクトに翻訳されているものの両方を読んでみるといいかもしれませんね。
・・・にしても、英語でもチェコ語でも「カッパ」ってどういうスペルなのかしら?
TOEICとかTOEFLの高得点保持者でも知らないと思うぞ(笑)
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