リーダーとは?の本
「政治家に向いている」と、他の人から言われたことはありますか?
私はあるんです。
大学を卒業して書店に正社員として就職をした時にセミナーがあり、そのうちの一つで防衛大学で教鞭をとっていた人を講師に迎えて作文を書くというものがありました。
お題は自分の選んだ本で「リーダー論」を語るというもの。
私は、フランスの児童文学のジュール・ヴェルヌ作「十五少年漂流記」を選びました。
十五少年漂流記は、別の邦題で「二年間の休暇」とも言い、あらすじとしては無人島に漂流した十五人の少年達の島での二年間を描いた作品です。
少年達は無人島に漂流し、そこで様々な困難にぶち当たるのですが、リーダーを大統領と呼び、その大統領を選挙によって選ぶわけです。
十五人のうちの三人がリーダーとしてそれぞれ選出されるのですが、そのうちの二人は一つの面では優れているけれどもう一つの面ではウィークポイントが出てしまい・・・最終的に大局的な観点を持つ三人目のリーダーが優れていた・・・というような内容だったと思います。
(なんか簡単な説明なんですけれど、作品は素晴らしいんですよ。私ももう一度読み直さなければと思っているのですが)
その作文のセミナーで同じく十五少年漂流記を選んだ人がもう一人いて、講師の先生が私ではないほうの人の作文を指して「あらすじとしてはわかった」と言っており、私としては非常に気まずかったですね。
あらすじは書いているけれど、肝心の「リーダー論」が書かれていないと言っているわけですから。
同期は20人くらいいて、中には東大卒の人とかもいたのに、なぜか講師の先生は私のリーダー論の作文が一番優れていたとみんなの前でおっしゃって、その後会社の社長にまでその話をしたそうなのですが、その時の言葉が「〇〇さん(私のこと)は大局的な観点がありますから、政治家に向いていますよ」とベタ褒めしていたそうなのです。
私はその時に初めて「大局的」という言葉を知りました。
よほどうまく書けていたんでしょうね。
原稿用紙で10枚くらいだったと思います。今、手元にないのですが、あったら全掲載していますね(笑)
その時は「褒められた~」といい気になっていましたが、よく考えてみたら私は作者の伝えたいことの要点を掴むのが上手だっただけで、実際に大局的な視点を持つ能力があったのは作者のジュール・ヴェルヌであり、すなわち政治家に向いていたのもジュール・ヴェルヌなのだと思いますよ、講師だった先生(笑)
・・・ということで、この本は「リーダーにとって重要なのは大局的な視点を持つということ」ということが描かれている本だということです。
十五少年漂流記 / ジュール・ヴェルヌ作・波多野 完治 訳(新潮文庫)
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