ひとりぼっち
きのう、帰り道で、新宿駅西口のロータリー付近の柱のゴミ箱の横に、70歳前後のおじいちゃんがちょこんと体育座りをしておにぎりを食べていました。
例のごとく、視野に入った責任があるので、きびすを返してまっすぐにおじいちゃんのもとに歩いていって、おじいちゃんと同じ目線になるように私もしゃがんだのです。
そして、「よかったらこれを使ってくださいね」と言って300円くらいを渡しました。
すると、おじいちゃんが顔をぐしゃぐしゃにしながらウワッと泣き出してしまったのです。
そして「ひとりぼっちになっちゃったんだよ…ひとりぼっちになっちゃったんだよ…」と泣きじゃくったのです。
私は、どのようにしてひとりぼっちになったのかとは問いませんでした。私にはおじいちゃんの言っている「ひとりぼっち」の意味が痛いほどわかったからです。
身内がいなくなってひとりという人は、高齢者の中ではさほど珍しくない昨今でしょう。知り合いにも何人かそういう方がいてそういう意味でのひとりは想像に難くありません。
このおじいちゃんが言っていた「ひとりぼっち」とは、毎日何千、何万というくらいの人が通りかかるこの人込みの中で、自分のことをまるで存在しないかのように通り過ぎる人を見て、「本当のひとりぼっち」に気が付いてしまった悲しみのことだと私は思ったのです。
「たまには人と話さなくちゃね。いつもこの道を通るから、また会いましょうね」と言って別れました。
TOTOのメンバーが作曲をした、マイケル・ジャクソンの「Human Nature」は、孤高の存在になってしまったマイケルが、他の人とのふれあいを求めて外出をする、といったような内容の曲です。
Human Nature=人間の性(さが)という意味です。
億万長者のマイケルと、ホームレスのおじいちゃんの人間のさがが、正反対の状況なのに全く同じものを求めているというところに、人間の悲しみを感じます。
Human Natureを聴く時には、ホームレスのおじいちゃんが言っていた「ひとりぼっちになっちゃったんだよ…」という気持ちも思い出してあげてくださいね。
マイルス・デイビスもカヴァーしています。
https://www.youtube.com/watch?v=tKAh--ss1r0
https://www.youtube.com/watch?v=mM4WW5yyuu0
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