人種について

加古 里子(かこ さとし)さんの絵本では、福音館書店のだるまちゃんシリーズや、偕成社のからすのパンやさんシリーズが有名だと思います。

あまり知られていないのですが、加古さんの絵本で、人種について取り上げている絵本があるのです。

「サザンちゃんのおともだち」

これは、アフリカに住むサザンちゃんが学校に通うお話で、サザンちゃんは広い草原の向こうにある学校に、ひとりで遠い道を歩いて通います・・・というお話です。

話の内容としては特に何が起きるというわけではなく、ある意味、いつも通り動物が量で攻めるかこ・さとしワールドが展開されるのですが、この絵本のあとがきが素晴らしいのです。


私のつくるものには、動物たちと歌と食べ物が何らかの形で登場する・・・と、指摘してくださった目ざとい方がおられました。まるで、私の好きなものを見すかされてしまったというところですが、その大好きな動物たちにたくさんでてきてもらうために、場所をアフリカに求めた作品のひとつが、この「サザンちゃん」のおはなしです。

その頃の私は、若気のせいか、どうもそれまで有色人を題材にして描かれた白人の作品に不満を持ち、いわば "アフリカ人によるアフリカ”にとりつかれていました。

その私のアフリカ研究(?)時代に、子ども会でつくられたものがこの「サザンちゃん」のおはなしのもとになりました。

~以下、略~


こんな深いことを考えて絵本を作っていたのですね。

1973年に出されましたので、私が4歳の頃にはもうそんな本が出ていたということになります。

アフリカを第三世界として見るのではなく、上から目線ではない絵本を出したいと先生は思ったのですね。


もう一つ、「あおいめ くろいめ ちゃいろのめ」という絵本も出されています。

これは、そのタイトルの通り、肌の色や目の色の違いといったものに焦点をあてた絵本なのですが、外見は違っても、喜怒哀楽の部分は全く変わらないよね、ということを、押し付けがましくなく描いている絵本です。


小学校の低学年の読み聞かせに最適の絵本だと思います。

かなりの大型書店に行っても、店頭に置いてあるのを見かけたことはありません(絶版ではないにもかかわらず、選からもれています。書店の仕入れ担当の方と図書館の選書をする方には、ぜひ力を入れていただきたい本ですね)


音楽のジャンルで「ブルー・アイド・ソウル」という呼び方がありますが、あれは和製英語に違いありません。

外国人のお友達がいる方は、くれぐれも「ブルー・アイド・・・」なんて言葉を言ってはいけませんよ。相手が硬直すること間違いなしです。

「ブルー・アイド・ソウル」の別の呼び方を考えてみましょうかね。



サザンちゃんのおともだち  /  かこ さとし (偕成社)


あおいめ くろいめ ちゃいろのめ /   かこ さとし (偕成社)